レーザークリーニングとブラストの違い|特徴・メリット・使い分けを解説


関東を拠点に、重防食・防水塗料の製造・販売、ポリウレア・超速硬化ウレタン防水工事、レーザークリーニング等を手掛けている菱洋株式会社でございます。


サビ除去や塗膜剥離などの表面処理では、「レーザークリーニング」と「ブラスト」が比較されることがあります。


どちらもサビや塗膜などを除去するために使用されますが、除去する仕組みや施工後の表面状態、発生する粉じん・廃材、得意な施工条件は大きく異なります。

そのため、レーザークリーニングがブラストの代わりになるかどうかは、単純に判断できません。


今回は、レーザークリーニングとブラストの違い、それぞれのメリット・注意点、どのように使い分ければよいのかをわかりやすく解説します。



□レーザークリーニングとブラストの大きな違い


最も大きな違いは、表面の付着物を除去する方法です。


ブラストは、研削材・研磨材を高速で対象物に衝突させ、物理的な力によってサビや塗膜などを削り落とします。

一方、レーザークリーニングは、レーザー光を表面に照射し、サビや塗膜などにエネルギーを吸収させることで除去します。


ブラスト:研磨材をぶつけて物理的に除去する

レーザークリーニング:レーザーと表面物質の相互作用によって除去する


という違いがあります。


NIOSH(米国労働安全衛生研究所)も、アブレイシブブラストについて、研磨粒子を圧縮空気などで高速に加速し、金属表面の洗浄などに使用する方法と説明しています。


ブラストとは?


ブラストは、研磨材を対象物へ高速で投射し、その衝撃によってサビ・ミルスケール・旧塗膜などを除去する表面処理方法です。


代表的には、


・エアーブラスト

圧縮空気を使って研磨材を高速で噴射し、サビ・塗膜・スケールなどを除去する方法です。

・ショットブラスト

主に金属製の投射材(ショットなど)を高速で対象物に当て、サビやスケールなどを除去する方法です。大型設備では羽根車(インペラー)で投射する方式が多く使われます。

・グリットブラスト

角ばった形状の研磨材(グリット)を投射し、表面を強く研削する方法です。サビ・塗膜の除去と、塗装下地に必要な表面粗さの形成に適しています。


などがあります。


使用する設備や投射方法は異なりますが、基本的には研磨材を対象表面へ衝突させることで処理する工法です。


ブラストの大きな特徴は、付着物を除去すると同時に、鋼材表面へ細かな凹凸を形成できることです。

この凹凸は「表面粗さ」や「サーフェスプロファイル」と呼ばれ、塗装やライニングを施工する際の密着性を確保するうえで重要になる場合があります。


そのため、重防食塗装などでは現在も非常に重要な表面処理方法です。



□レーザークリーニングとは?


レーザークリーニングは、高エネルギーのレーザー光を対象表面へ照射し、サビ・酸化被膜・塗膜・油汚れなどを除去する表面処理技術です。

レーザーエネルギーが付着物へ吸収されると、急激な温度上昇や熱膨張、アブレーション、気化、界面剥離などが起こり、付着物が表面から除去されます。

研究でも、レーザーによる塗膜除去では、熱アブレーション、熱による界面破壊、プラズマによる作用など複数の除去メカニズムが報告されています。


レーザー条件を適切に設定することで、母材への影響を抑えながら局所的に処理できることが特徴です。



□レーザークリーニングとブラストを比較


レーザークリーニングとブラストは、どちらもサビや塗膜などの除去に使用できますが、それぞれ得意とする施工条件が異なります。


レーザークリーニングの特徴


・研磨材を使用しない

・局所的な処理に適している

・使用済み研磨材の回収・廃棄が不要

・適切な条件設定により母材への影響を抑えやすい

・周辺への研磨材の飛散がない


ブラストの特徴


・研磨材を高速で衝突させて除去する

・大面積の処理に適している

・強固なサビや厚い塗膜の除去に適している

・表面粗さ(サーフェスプロファイル)を形成しやすい

・研磨材の回収・清掃・廃棄が必要になる


大きく分けると、ブラストは「大面積の除去と表面粗さの形成」、レーザークリーニングは「研磨材を使用しない局所的・選択的な除去」にそれぞれ強みがあります。


ここから、施工方法を選定するうえで特に重要となる違いを詳しく解説します。


違い① 表面粗さ


レーザークリーニングとブラストを比較するうえで、特に重要なのが施工後の表面状態です。


ブラストは、研磨材が鋼材へ高速で衝突することで、サビや塗膜を除去すると同時に、表面へ細かな凹凸を形成します。この凹凸が「サーフェスプロファイル」です。

重防食塗装などでは、塗料の密着性を確保するために一定の表面粗さが要求される場合があります。


一方、レーザークリーニングでも照射条件によって表面状態は変化しますが、ブラストと同じサーフェスプロファイルが得られるとは限りません。

そのため、再塗装を目的とする場合は、単純にサビや塗膜が除去できたかだけでなく、次工程の塗装で要求される素地調整条件を満たしているかを確認することが重要です。


違い② 母材への影響


ブラストは研磨材を高速で衝突させるため、母材表面にも物理的な作用を与えます。これは、表面粗さを形成できるメリットでもあります。


一方、レーザークリーニングは、レーザー出力や走査速度などを適切に設定することで、母材への影響を抑えながら付着物を除去することが可能です。

そのため、局所的な補修や母材への機械的な研削を抑えたい箇所などでは、レーザークリーニングが適している場合があります。


ただし、レーザーであれば母材にまったく影響を与えないわけではありません。

出力や走査速度、照射回数などの条件によっては、変色・溶融・表面状態の変化などが生じる可能性があるため、事前のテスト施工による確認が重要です。


違い③ 粉じん・廃材・後処理


ブラストでは、研磨材に加えて、除去された塗膜やサビなどが周囲へ飛散します。

そのため、施工条件によっては養生・集じん・研磨材の回収・清掃・廃棄などが必要です。


一方、レーザークリーニングは研磨材を使用しないため、使用済み研磨材の回収や廃棄が不要です。


ただし、レーザークリーニングでも、除去されたサビや塗膜などから微粒子やヒュームが発生する場合があります。

そのため、「粉じんが発生しない工法」ではなく、施工対象に応じた集じん・換気などの対策が必要です。


部分的なサビ、溶接部、ボルト周辺、設備周辺、補修箇所など、必要な部分だけを処理する用途に適しています。


そのため、単純な「1㎡当たりの処理速度」だけでなく、


養生・清掃・廃材処理・施工スペースまで含めた総合的な施工時間


で比較することが重要です。



ブラストが向いているケース


ブラストは、次のような施工に適しています。


・大面積のサビ・塗膜を効率よく除去したい

・強固なスケールや旧塗膜を除去したい

・重防食塗装前の素地調整を行いたい

・一定のサーフェスプロファイルを形成したい

・研磨材を使用できる施工環境が確保されている


特に、塗装仕様で明確な素地調整や表面粗さが指定されている場合には、ブラストが適しているケースがあります。


レーザークリーニングが向いているケース


一方、レーザークリーニングは次のような場合にメリットがあります。


・研磨材を使用したくない

・局所的に処理したい

・周辺設備への飛散をできるだけ抑えたい

・複雑な設備や部品を処理したい

・母材への機械的な研削を抑えたい

・ブラストの養生や清掃が難しい

・サビや塗膜を部分的に除去したい


特に既存設備のメンテナンスや部分補修では、レーザークリーニングの特性を活かしやすい場合があります。



□レーザークリーニングはブラストの代わりになる?


条件によっては代替できますが、すべてのブラスト処理をレーザークリーニングへ置き換えられるわけではありません。


例えば、「表面に付着したサビを除去する」ことだけが目的であれば、レーザークリーニングで対応できる場合があります。


しかし、

ブラストによってサビを除去し、同時に塗装に必要な表面粗さを形成する

ことまで要求されている場合は、単純にレーザーへ置き換えることはできません。


逆に、ブラストでは研磨材の飛散や養生が問題となる設備周辺の部分補修などでは、レーザークリーニングの方が施工しやすいケースがあります。


つまり重要なのは、「何を除去したいか」だけではなく、「除去した後にどのような表面状態が必要なのか」まで確認することです。


レーザーとブラストは使い分けが重要


レーザークリーニングとブラストは競合する技術のように見えますが、実際には得意な施工条件が異なります。


たとえば、大面積をブラストで施工し、設備周辺や複雑な箇所をレーザーで処理するといった併用も考えられます。


施工方法を選定するときには、


母材、サビや塗膜の種類、塗膜厚、施工面積、必要な表面粗さ、次工程の塗装仕様、周辺設備、養生条件、廃材処理、工期


などを総合的に検討することが重要です。



□よくある質問


Q. レーザークリーニングとブラストはどちらが速いですか?


施工条件によって異なります。

広い面積を全面処理する場合はブラストが有利になることがあります。一方で、局所施工ではレーザークリーニングの方が養生や後処理を含めて効率的になる場合があります。


Q. レーザークリーニングでも塗装下地を作れますか?


レーザー処理によって表面状態や粗さを変化させることは可能ですが、ブラストと同じ表面粗さが得られるとは限りません。再塗装を目的とする場合は、塗料メーカーや施工仕様で要求される素地調整条件を確認する必要があります。


Q. レーザーなら母材を削りませんか?


適切な施工条件では母材への影響を抑えやすいですが、完全に影響がないわけではありません。出力、走査速度、照射回数などによって母材表面が変化する可能性があるため、事前テストが重要です。


Q. レーザークリーニングは粉じんが出ませんか?


研磨材は使用しませんが、除去したサビや塗膜などから微粒子やヒュームが発生する場合があります。そのため、集じん・換気などの安全対策が必要です。


Q. ブラストからレーザーへ変更できるか確認できますか?


母材、除去対象、既存塗膜、要求される仕上がりなどを確認したうえで判断します。

実際の施工対象を使用したテスト施工を行うことで、除去速度や施工後の表面状態を確認することができます。


□まとめ


レーザークリーニングとブラストは、どちらもサビや塗膜の除去に使用される表面処理技術ですが、その仕組みと得意分野は大きく異なります。


ブラストは研磨材を高速で投射し、サビや塗膜を除去すると同時に、塗装下地として必要な表面粗さを形成できる点が大きな特徴です。


一方、レーザークリーニングは研磨材を使用せず、局所的な施工や周辺への飛散を抑えたい場所などで活用しやすい工法です。


そのため、

「レーザーとブラストのどちらが優れているか」ではなく、「その現場で何が求められているか」から施工方法を選定することが重要です。


菱洋株式会社では、レーザークリーニングによるサビ除去・塗膜剥離などの施工に対応しております。


現物を使用したテスト施工にも対応しておりますので、


「現在ブラストで行っている処理をレーザーへ変更できるか確認したい」

「このサビ・塗膜をレーザーで除去できるか試したい」

「ブラストとレーザーのどちらが適しているか相談したい」


といった場合も、お気軽にご相談ください。



□現地調査から施工管理まで、菱洋にお任せください

菱洋株式会社は防水・防食施工業者として、数多くの実績があり、レーザークリーニングだけでなく、除去から仕上げまで対応可能でございます。

専任の担当者が直接現場の調査から打ち合わせ、お見積り、設計、施工管理まで一貫体制で承りますので、安心してお任せください。これまで様々な現場で培ってきた経験と実績により、大規模な施設はもちろん、多種多様な施設・設備へご提案が可能です。ポリウレア施工、超速硬化ウレタン防水施工、レーザークリーニング、大規模修繕工事など、お気軽にご相談ください。


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